接骨院の開業は準備が重要になる!開業準備の詳細を解説

柔道整復師の資格を取得し、自分の接骨院の開業を目標にしている方は多いはずです。接骨院を開業して自分の施術方針・腕で思うように仕事ができるのは独立開業のメリットです。

しかし、いざ開業となると資金や官公庁への届出など、さまざまな種類の提出書類まであります。そこで重要になるのが開業準備です。今回は、接骨院を順調に開業するために、必要となる準備を中心に開業までの流れも紹介します。

 

1.そもそも接骨院とは

接骨院開業の準備について紹介する前に、「接骨院」について解説します。街の中で見かけることがある「○○接骨院」、ほねつぎ、整骨院とも呼ばれることがあります。接骨院は、国家資格の「柔道整復師」を取得した方が、日常生活の事故やスポーツで発生するケガから、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷に対して施術を行うところです。また、業務中に発生した労災事故や、交通事故の自賠責保険適用の症状に対しても施術をすることが可能です。

1-1.柔道整復師は国家資格

接骨院を開業できる「柔道整復師」は国家資格です。資格は大学または柔道整復師の養成校で基礎医学を修め、骨折や脱臼などの柔道整復術を学び、関連する関係法規も学んで、最終的に国家試験に合格することが条件です。さらに柔道整復師の免許を取得するには、柔道整復師法第8条の2第1項にもとづいて、柔道整復師名簿に登録することにより、厚生労働大臣から柔道整復師の免許が交付されます。

1-2.手技による非観血的療法

柔道整復は医療と異なり、手術や注射、投薬などの外科的な治療法を用いず、昔から伝承されている手術をしない「非観血的療法(ひかんけつてきりょうほう)」の手技で施術を行います。実際には、骨折や脱臼などのケガに対して、整復・固定・痛めた体の組織を回復させる後療法(こうりょうほう)を施術して、人間が生まれながらに持っている自然治癒力を最大限に引き出させる施術方法を行います。

 

2.資金計画は重要

接骨院開業にあたり、準備段階で最大の問題といえるのが資金計画です。誰もが成功を目指して接骨院を開業させるために、ベースとなる資金計画は入念に行うことが重要です。

開店資金を抑えて小規模にオープンすると、集客力不足から患者さんが来院しないこともあります。資金計画は難題だけに、開業する地域の銀行や信金に相談するのもおすすめです。接骨院開業の資金については、「設備資金」と「運転資金」に分けられます。オープンするための設備資金と、軌道に乗るまでの運転資金が必要になってきます。

2-1.規模によって設備資金は変わる

接骨院の開業にかかる設備資金は、接骨院の場所や規模、スタッフの数や設置する設備などによってまさにピンからキリまであり、実際の費用は各接骨院で異なります。

それでも一般的にいわれているのが、運転資金も含めて800万~1200万円程度は費用が必要になってくるということ。資金手当をすべて自己資金でまかなえればよいのですが、不足が考えられれば、金融機関によく相談して融資を確定してから開業することも考えましょう。資金がショートすると廃業もあり得ます。

 

3.接骨院開業の流れと必要な準備

本章で、柔道整復師の資格所有者の方が接骨院を開業するにあたり、準備から開業までの流れと、注意すべき準備ポイントについて紹介します。

2020年(令和2年)の厚生労働省による衛生行政報告例によれば、都道府県別の柔道整復施術所(接骨院・整骨院)の数は50,364です。決して少ない数ではありません。そのようななかで新たに整骨院を開業するには、開業するロケーションや医療機器など、入念な準備が必要になるのです。

3-1.開業の要件を満たす

接骨院を開業する必須要件として、柔道整復師の資格取得があります。さらにもう1つ取得必要なものが施術管理者の資格です。

施術管理者は、柔道整復師が行う施術を含め、施術所における療養費の受領委任に係る取扱い全般の管理する者を指します。施術管理者になるためには、2018年(平成30年)4月から、柔道整復師の資格取得後の「実務経験」と「2日間の施術管理者研修の受講」が義務付けられました。そこから受領委任の届出を行う際は、従来の届出書類に加えて実務経験期間証明書の写しと、施術管理者研修修了証の写しの添付が必要です。

実務経験は、以下のように定義されています。

「受領委任の取扱いを行うとして登録された施術所(以下「登録施術所」という。)において、柔道整復師として実務に従事した経験」
2022年2月14日厚生労働省保険局長通達

なお、2022年(令和4年)4月から、2024年(令和6年)3月までに届出する場合は2年間の実務経験が必要で、2024年(令和6年)4月以降に届出する場合は3年間の実務経験が必要になります。

3-2.接骨院の開業場所を決める

接骨院を開業し成功する条件の一つが、立地にかかっています。オープンする場所、アクセスの良さ、街の規模、住民の人員構成などを考慮しなければなりません。近隣の競合となる接骨院の有無も調査することが必要です。

3-3.接骨院の方針やコンセプトを定める

接骨院は近年も増加中です。そのため独立して順調に開業するには、多数ある接骨院の中で明確な独自のコンセプトをしっかり定め、他院とは異なる差別化が必要なのです。実際に得意な施術を備えると、その施術を期待して患者さんが受診にやってきます。それが口コミで拡散することもあります。

3-4.事業計画を作成する

事業計画は、接骨院開業に向けて具体的に実行する計画を時系列で決めることです。もちろん、その計画通り進行しないこともあり得ますが、そのような不測の事態にも対応可能となるよう多少の余裕をもって事業計画を立てておきましょう。また、開業後の事業計画として少なくとも1年後の集客目標を立て、その目標値を達成するための施策も時系列で立てておきましょう。

3-5.接骨院の設計・内装工事を行う

接骨院の内装工事については、居抜き物件かスケルトン物件かで変わってきます。費用を抑えるのであれば居抜きはおすすめですが、変更できる範囲は狭くなります。また、接骨院という性質上、設計では華美な内装や奇抜なデザインは避ける傾向です。患者さんがリラックスできて清潔感にあふれ、落ち着ける内装がおすすめです。接骨院は構造や設備などに細かい基準があり、接骨院の工事実績の多い内装業者を選びましょう。

3-6.医療機器を選定する

接骨院の施術は、手技療法が基本です。医療機器をメインに使用することはありませんが、補足的なものとして使用するために、導入されます。導入に際して医療機器は高額なものが多く、新品を分割払いで購入する方法や中古の安い物件にする方法、そしてリースという方法もあり、資金状態を見ながら無理のない範囲で導入しましょう。

3-7.什器と備品

医療機器ほど高価ではありませんが、施術に使用するベッドや椅子、接骨院の待合室で使用するソファーや棚に収納ボックスなど、什器や備品は多数あり費用がかかります。厳選してコスパの良い物をそろえましょう。また現代はパソコンが必須アイテムで、ホームページの作成なども求められる時代だけに、使い勝手の良いパソコンを導入し、販促効果や事務の効率アップを図りましょう。

 

4.まとめ

柔道整復師の資格を取得し、施術管理者の資格も取って念願の接骨院の開業準備はできたのですが、実際に開業するまではさまざまな手続きがあり、やることが多いものです。それでもに、自分のやりたい事を実現したい思いが強ければ新しい道が開ける独立をおすすめします。

「ヒラタメディカルサポート株式会社」は、経験豊富な開業アドバイザーがそろっております。多くの接骨院・整骨院の開業に携わってきて、経験も実績も豊富です。柔道整復師のコンセプトを理解しながら、最適な開業プランをご提案させて頂きます。柔道整復師のみなさまの経営方針もお聞きし、開業場所の選定から融資のご相談・事業計画書のアドバイスなど、無事開業できるまでご一緒になってお手伝いいたします。